経費の仕訳をするときにはややこしい計算がたくさんありますが、減価償却費を求めることもそのひとつです。減価償却費の計算は耐用年数によって変わるので、まずは使っている農機具の耐用年数をチェックしましょう。この記事を読めば、農機具が中古のときの減価償却費の計算方法が分かります。
1.減価償却とは?農家の場合はどうする?
減価償却とは、耐用年数に応じて固定資産の経費を配分する仕組みです。固定資産は経年劣化するので、その分価値が減少します。固定資産の価値はパソコンで例えると、イメージがしやすいのではないでしょうか。
基本的に5年前のパソコンよりも最新式のパソコンの方が、ハイスペックです。また5年間使い続けたパソコンは動きが遅くなるなど、品質が低下しているでしょう。10年前のパソコンと最新式のパソコンを販売したら、10年前のパソコンの方が欲しい人は少ないはずです。これと同じことが農機具にもいえます。
もし減価償却をしなければその固定資産を取得した年だけ赤字になる可能性があります。しかし減価償却によって、正しい利益が計上されるのです。
1-1.農家の減価償却について
農機具や施設を手に入れたときの価格が10万円以上の場合は、減価償却が必要です。減価償却資産は大きくわけて3種類あります。
【減価償却資産の種類】
1.有形減価償却資産(建物や機械、車両、運搬具など)
2.無形減価償却資産(権利など)
3.生物(家畜、果樹など)
1-2.基本的な減価償却費の計算方法
減価償却費の計算方法には、主に「定額法」と「定率法」があります。
【定額法の計算式】
取得価額÷耐用年数
100万円で耐用年数が5年の固定資産を取得したときの計算式は「100万円÷5=20万円」となります。
【定率法の計算式】
未償却残高×定率法の償却率
耐用年数が5年なら、定率法の償却率は0.4と決まっています。耐用年数の間に減価償却が終了しないのが定率法の特徴なので、調整をします。償却率は耐用年数ごとに決まっているので、ご自身で所持している固定資産の償却率をご確認ください。定額法のときと同じ条件で計算をした場合は、以下のようになります。
【定率法の計算例】
- 1年目は「100万円×4=40万円」
- 2年目は「(100万円-40万円)×4=24万円」
- 3年目は「(100万円-40万円-24万円)×4=14万4千円」
1-3.農機具が中古のときの計算方法
減価償却では「固定資産は経年劣化する」という考え方なので、中古と新品で計算方法が同じなのは理屈に合いません。そのため取得した固定資産が中古の場合は、年数に応じた計算方法があります。農機具が中古のときの減価償却については、「法定耐用年数をどれだけ経過しているか」によって計算方法が変わるのです。
【農機具が中古のときの減価償却】
1.法定耐用年数のうち全部が過ぎているとき・・法定耐用年数の20%
2.法定耐用年数のうち一部だけ過ぎているとき・・まず法定耐用年数から経過している年数を差し引く。その年数に経過した年数の20%に該当する年数を加える。
上記を踏まえて、田植機を中古で購入した事例で計算してみましょう。
田植機は「栽培管理用器具」に該当します。何の農機具がどこの種類に該当するかはきちんと決められていますので、ご確認ください。
【計算方法の事例】
- 法定耐用年数のうち全部が過ぎているとき
法定耐用年数の20%。栽培管理用器具の法定耐用年数は7年なので、計算式は「7年×20%=1.4年」。この場合は2年未満なので、耐用年数は2年で計算する。
農機具の購入費用が500万円なら、「500×0.5=250」
- 法定耐用年数のうち一部が過ぎているとき
1年経過した中古の田植機を購入した場合とする。栽培管理用器具の法定耐用年数7年から1年を差し引くので、計算式で利用するのは6年。「6年×20%=1.2年」となり、2年未満なので1番と同じ考え方になる。
計算して出て来た年数はそれぞれ違うので、各自で耐用年数をチェックしてください。
2.減価償却の仕訳の仕方
減価償却の計算方法が分かっても帳簿への仕訳の仕方が分からなければ、そこでつまずいてしまいます。仕訳の仕方についても、ここで押さえておきましょう。
2-1.直接法か間接法で仕訳をする
名前の通り固定資産から減価償却費を直接差し引く方法を、直接法といいます。間接法は減価償却累計額を計算する方法です。以下では例として、減価償却費20,000円の場合で仕訳の仕方を解説します。
【直接法】
借方には「減価償却費 20,000円」を入力する。貸方には「固定資産 20,000円」を入力する。
【間接法】
借方には「減価償却費 20,000円」を入力する。貸方には「減価償却累計額 20,000円」を入力する。
3.まとめ
減価償却費の計算は難しい記号などが出てくるわけではないので、理解できれば簡単です。現在は、オンラインで帳簿がつけられるうえにサポートをしているサービスなどもあります。帳簿の付け方で不明点があれば、そのようなサービスを利用するのもおすすめです。税金に関する内容は都度変わるので、ご自身で最新の情報をご確認ください。
「株式会社井上商店」は宮崎県で中古農機具などのリサイクル事業を行っています。農機具のリサイクルなどで不明なことがございましたら、お気軽にご相談ください。